梅花のいろとかたち

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誕生石 Birthstone - 起源と時代による違い、日本の追加宝石

誕生石

いつの間にか自分の誕生石を知っていた。という方は多いんじゃないでしょうか。雑誌の占星術コーナーみたいなのにも載っていたりしますし。鉱物・宝石好きの梅花もいつのまにか誕生石12ヶ月を覚えていて、代表的な宝石はすぐに出てきます。
けれど、図鑑などをみているうちに、資料によって異なる宝石が選ばれていて、一体どういう基準なのか気になってきました。

とりあえず、持っている図書資料を片っ端から調べていくことにしたのですが、調べれば調べるほどあいまいな上に神秘性がなくなっていく… 
誕生石を紹介したウェブサイトはたくさんあるので、梅花的な切り口でまとめていこうと思います!

※今回使用している宝石の写真は撮影したものではなくイメージ画像を使用しています。

誕生石の起源、はっきりしていない…

書籍の誕生石に関する項目に目を通していて、由来について一番詳細に載せていたのがなんと学研の図鑑『美しい鉱物』でした。 宝石やジュエリー界隈では由来はあまり重要ではないようです。その由来をもう少し調べていくと誕生石がどうやって現在の形になったのかがわかってきます。

昔から、12の星座はそれぞれ宝石と結びつけられてきた。宝石はその星座のもとに生まれた人間の性格に共鳴し、幸運をもたらすとされている。のちに宝石は星座よりも誕生月にむすびつけられるようになった。どの社会においても主な宝石が使われるのは同じだが、どの宝石が何月にむすびつけられるかは社会によって異なる。
(宝石と鉱物の大図鑑 スミソニアン協会監修 より)

聖書に登場する石

旧約聖書の出エジプト記に登場する祭祀の胸プレートに、12の石が飾られていたことからという説。同じくモーセの審判に登場する12氏族の名前が彫り込まれた宝石に由来するという説。
複数の書籍で聖書由来という記載がありました。由緒もありもっともに聞こえるんですが、調べてみるとどうも後付けっぽい気もします。

旧約聖書の成立は紀元前4〜5世紀頃とされていて、その当時のヨーロッパ近辺でみられた宝石は、古代から産出していたターコイズ、ラピスラズリ、アメジスト(水晶)、カーネリアン、瑪瑙、ジャスパーなどで、あとは中近東あたりから流れてきたルビーやサファイア、エメラルドがあるかどうか。
12の石が登場するだけで(それが何の宝石かも定かで無い)生まれた月と関係しているわけではないような…。
アメジスト

ポーランドのユダヤ人宝石商

18世紀頃、ポーランド(資料によってはドイツの説も)に移住したユダヤ人の宝石商が「生まれ月の宝石を身につけると幸せに暮らせる」と広めヨーロッパに普及した、とありました。この売り文句だけ聞くと、なんだか霊感商法みたいな笑。宝石商によってオススメの宝石が異なったため、地域によってまちまちになったのも頷けます。商売上手。
色々調べた結果、以下のような流れになってるようで…

聖書に12の石が登場する
 ↓
聖書&宗教の歴史家&研究家が12の月と関連があると信じ教え広める
 ↓
信徒たちが12の石を集め身に着ける
 ↓
特定の月にはその月に関連する石のパワーが上がる説
 ↓
12石をひと月に1石ずつ身に着ける(その月の守護石的な)
 ↓
宝石商人たちがあちこちで幸運のお守りとしていろんな宝石を売り広める

『幸運を呼ぶ守護の宝石はいかがでしょう?  1月にはガーネット、12の宝石です。 え?そんなに買えない? では、あなたの生まれた月は何月ですか? 2月? それならこの美しいアメジストがあなたを守ってくれますよ!』
みたいな感じで誕生石が一般にも定着したのかもしれません笑。
水晶

アメリカで誕生石リストが決まる

1912年、アメリカの宝石商協会(現在はジュエラーズ・オブ・アメリカ )が現在の誕生石のベースとなる宝石を制定し、1952年にアメリカジュエリー産業協議会がリストを更新。2002年にアメリカ宝石取引協会がタンザナイトを追加し、2016年にアメリカ宝石取引協会とジュエラーズ・オブ・アメリカがスピネルを追加とあります。
※[Birthstone - Wikipedia]英語版を参照したため団体名の日本語訳が正しくないかもしれません。

日本の誕生石

日本では1958年、全国宝石卸商協同組合がアメリカの誕生石を取り入れて定めたとありますが、その際、3月にサンゴ、5月にヒスイを加えています。
どちらも日本人が好み、古くから馴染んできた宝石です。ピンク系のサンゴは桃の節句の3月に、グリーン系のヒスイは新緑の季節の5月にという理由で、深い意味はなさそうです。

2021年、新たに宝石が追加

2021年12月に全国宝石卸商協同組合、日本ジュエリー協会などの関連団体によって63年ぶりに改定されました。
クリソベリルキャッツアイ、ブラッドストーン、アイオライト、モルガナイト、アレキサンドライト、スフェーン、スピネル、クンツァイト、タンザナイト、ジルコン、の10種類。
ブラッドストーン、アレキサンドライト、タンザナイト、ジルコンはアメリカの誕生石に登場していて、日本でもすでに誕生石として扱われていますが、全体的に付け足しました感をすごく感じる…
もし、単純に売り出したい宝石の知名度を上げたいのだとしたら、ちょっと安易でない?思ってしまうのですが、一時的にでもニュースや話題になったのだから効果あったのかも…

宝石

12の月の宝石

古代、人々は自然からそのままの形で輝く石が採れることに驚き、神からの贈り物だと思い、神の力が宿るお守りとして身につけるなど特別なものだったのだろうと想像できます。実際高い身分の者の副葬品として出土したりしています。
神秘的な伝承などに結びつけられていたものに売る方の思惑が絡み、20世紀以降はアメリカの宝石組合が提唱したものがベースとなり現在にいたる。各国の文化に合わせたり、新しく産出した宝石を追加したりと、国だけでなく年代によっても異なっていてかなり複雑です。
宝石

ここからは各月の宝石を国や時代によってどう違うのかみていきますが、本当に諸説あって、各資料を突き合わせてまとめたため、不確定要素も多くこれが正解というわけではないことをご了承ください。
各宝石の伝承については『宝石と鉱物の大図鑑』から。日本の新宝石の追加理由が、全国宝石卸商協同組合のウェブサイトにありましたので引っぱってきました。

1月
古代アーユルベーダの伝承医術においても月の石とされていた

15世紀~20世紀:ガーネット
米(1912):ガーネット
米(1952):ガーネット
日(1958):ガーネット
英(2013):ガーネット
仏:ガーネット
米(2019):ガーネット
日(2021):ガーネット

2月
気高さと結びつけられるアメジストは、現代においても古代においても2月の石

15世紀~20世紀:アメジスト、パール
米(1912):アメジスト
米(1952):アメジスト
日(1958):アメジスト
英(2013):アメジスト
仏:アメジスト
米(2019):アメジスト
日(2021):アメジスト、クリソベリルキャッツアイ

2月22日が猫の日、欧州でも2月17日が「World Cat Day」で、和名が猫目石。め(芽)がでるなど良い意味も含むことから選定されたそうです。

3月
穏やかな心をもたらすとされいてる

15世紀~20世紀:ブラッドストーン、ジャスパー
米(1912):ブラッドストーン
米(1952):アクアマリン
日(1958):アクアマリン、珊瑚
英(2013):アクアマリン、ブラッドストーン
仏:ルビー
米(2019):アクアマリン
日(2021):アクアマリン、珊瑚、ブラッドストーンアイオライト

ブラッドストーンはヨーロッパの多くの国で3月の誕生石となっており、また歴史的背景も考慮し追加。
アイオライトはコーディエライトの青色の変種で、コーディエライトの名前の由来であるピエール・ルイ・アントワーヌ・コーディエの誕生月が3月であることからだそうです。

4月
人間関係を改善するともいわれている

15世紀~20世紀:ダイヤモンド、サファイア
米(1912):ダイヤモンド
米(1952):ダイヤモンド
日(1958):ダイヤモンド
英(2013):ダイヤモンド、水晶
仏:ダイヤモンド、サファイア
米(2019):ダイヤモンド
日(2021):ダイヤモンド、モルガナイト

モルガナイトの名前の由来であるジョン・ピアポント・モルガンの誕生月であり、日本の花、桜を連想させる色合いからだそうです。

5月
15世紀~20世紀:エメラルド、瑪瑙
米(1912):エメラルド
米(1952):エメラルド
日(1958):エメラルド、翡翠
英(2013):エメラルド、クリソプレーズ
仏:エメラルド
米(2019):エメラルド
日(2021):エメラルド、翡翠

6月
純粋さを表す真珠

15世紀~20世紀:キャッツアイ、ターコイズ、瑪瑙
米(1912):パール、ムーンストーン
米(1952):パール、ムーンストーン、アレキサンドライト
日(1958):パール、ムーンストーン
英(2013):パール、ムーンストーン
仏:ホワイトカルセドニー
米(2019):パール、ムーンストーン、アレキサンドライト
日(2021):パール、ムーンストーン、アレキサンドライト
現在のアメリカの誕生石に合わせてとのこと。

7月
情熱をかき立てるとされている

15世紀~20世紀:ターコイズ、オニキス
米(1912):ルビー
米(1952):ルビー
日(1958):ルビー
英(2013):ルビー、カーネリアン
仏:カーネリアン
米(2019):ルビー
日(2021):ルビー、スフェーン

スフェーンの発見者、マーク・オーガスト・ピクテの誕生月であることと、スフェーンの輝きが日本の夏の森のよ うな色合いを持つことからだそうです。

8月
15世紀~20世紀:サードニクス、カーネリアン、ムーンストーン、トパーズ
米(1912):サードニクス、ペリドット
米(1952):ペリドット
日(1958):ペリドット
英(2013):ペリドット、サードニクス
仏:サードニクス
米(2019):ペリドット、スピネル(2016年追加)
日(2021):ペリドット、スピネル
現在のアメリカの誕生石に合わせてとのこと。

 9月
愛するものを妬みや害から守るとされている。

15世紀~20世紀:クリソライト
米(1912):サファイア
米(1952):サファイア
日(1958):サファイア
英(2013):サファイア、ラピスラズリ
仏:ペリドット
米(2019):サファイア
日(2021):サファイア、クンツァイト

クンツァイトの名前の元となった鉱物学者クンツ博士の誕生月が9月だから…

10月
15世紀~20世紀:オパール、アクアマリン
米(1912):オパール
米(1952):オパール、トルマリン(ピンク)
日(1958):オパール、トルマリン
英(2013):オパール
仏:パール、アクアマリン
米(2019):オパール、トルマリン
日(2021):オパール、トルマリン

11月
15世紀~20世紀:トパーズ、真珠
米(1912):トパーズ
米(1952):トパーズ、シトリン
日(1958):トパーズ、シトリン
英(2013):トパーズ、シトリン
仏:トパーズ
米(2019):トパーズ、シトリン
日(2021):トパーズ、シトリン

12月
15世紀~20世紀:ブラッドストーン、ルビー
米(1912):ターコイズ、ラピスラズリ
米(1952):ターコイズ、ジルコン
日(1958):ターコイズ、ラピスラズリ
英(2013):ターコイズ、タンザナイト
仏:ターコイズ、マラカイト
米(2019):ターコイズ、ジルコン(ブルー)、タンザナイト(2002年追加)
日(2021):ターコイズ、ラピスラズリ、タンザナイトジルコン
12月も現在のアメリカの誕生石に合わせて。

タンザナイトは1960年代にタンザニアで発見され、1967年にアメリカのティファニー社が命名し大々的に売り出した比較的新しい宝石。

まとめ

日本は常にアメリカの後追いをしていて、フランスは伝統を守りつつ独自色を出す。お国柄が出てて面白いです笑。

日本の誕生石改定、追加理由が…

欧米の誕生石に合わせた宝石の他は、ほとんどが発見者の誕生月だからというのと、色からのイメージで選ばれていました。そんな理由なんだ、と正直なところちょっとがっかりです…
改定に携わった二団体のウェブサイトの誕生石ページのリンクです。いいのか…?これで。普及させる気ある?って思ってしまう。

GIAの誕生石の解説ページをみると、各宝石の歴史的な逸話やバックボーンが書かれていて、古代の人々がどのように宝石をみていたのか、どういういわれがあるのかを絡めて紹介しています。アメリカの団体との落差が激しすぎて悲しくなりますよ。

宝石

古代から愛されてきた石には、昔の人の願いを込めた意味づけがされていましたが、結局のところ誕生月と石そのものとの繋がりは明確にはなく、いつの時代も、宝石の人気や供給量、売り手の思惑に影響されてきました。どれが正しくてどれが間違っているもないのです。

美しい石の力を信じるもよし、守護石として身につけるもよし、自分の直感と好みで石を選ぶのもよし、です。梅花個人としては、スピリチュアルなものは信じていないけれど、古代の人が願い信じ、天体と結びつくなどロマンと歴史はそのままに、宝石の魅力を楽しみたい思っています。