梅花のいろとかたち

Umehaha の手仕事と好きなものブログ

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幻の宝石となった、クリソベリル chrysoberyl

パロットクリソベリル

私の大好きな宝石の中にクリソベリルがあります。少しグリーンの混じったイエローが美しい宝石です。

硬度は8.5でダイヤモンドやルビー・サファイアに次いで高く宝石向きです。が、知名度はそう高くもなく、価格も宝石としては標準的な部類です。
そんなクリソベリルですが、驚くべき変種が存在します。
キャッツアイとアレキサンドライトです。アレキサンドライトは希少性が高く、世界三大希少石に数えられることもあります。また、変種ではないですが、クリソベリルの中には幻の宝石と呼ばれるものがあるのです。

アレキサンドライトについても語ると長くなるので、別記事にまとめるとして、今回はクリソベリルとキャッツアイについて紹介しようと思います。

クリソベリル Chrysoberyl はどんな宝石?

クリソベリル
マダガスカル産 クリソベリルのドロップビーズ

ベリルの仲間と勘違い

英語では「Chrysoberyl」ギリシャ語で金を意味するChrysos と beryl(ベリル)が由来となっています。"金色のベリル" は当初ベリルの一種と考えられていたためです。
ベリルはエメラルドやアクアマリンなどの鉱物名です。エメラルド、アクアマリンは宝石名なのです。ベリルにも「ゴールデンベリル」と呼ばれるものがあるため、さらにややこしい笑。

 ベリル:ケイ酸ベリリウムアルミニウム Be3Al2Si6O18
 クリソベリル:酸化ベリリウムアルミニウム BeAl2O4

二つとも同じベリリウムとアルミニウムからなっていますが、ベリルはケイ酸塩鉱物グループで、クリソベリルは酸化鉱物のグループです。
クリソベリルのドロップビーズ

和名では金緑石(きんりょくせき)と呼ばれています。ベリルの和名が緑柱石なので、そのまんまなのですが、美しいイエローグリーンを見ると、由来を知らなくても、金緑石という名前がぴったりで納得です。

ヨーロッパで流行した裏側には…

ブラジル産の淡い黄色のクリソベリルが、17〜18世紀のスペイン・ポルトガルで宝飾品のために多く使われたと書籍に記述*1がありました。おそらくそれは、大航海時代を経て征服下に置いた南米から大量に運び出したもののうちの一つなのだと思います… 
ここからクリソライト(スワロフスキークリスタルの色名)へとつながっているのかと思うと、色名一つとってみても歴史があって気が遠くなりそうです。

パロットクリソベリル Parrot chrysoberyl

パロットクリソベリル

“Parrot” はオウム(鸚鵡)のことです。南国の鮮やかなオウムの羽の色から名付けられています。目の覚めるような蛍光イエローグリーンの宝石です。
なぜ、幻の宝石と言われているのかというと…

1997年インド南部チンタバリ鉱床で見つかりましたが、6年ほどで採掘終了となってしまいました。入手可能なのは現在市場で流通しているもののみという希少性で「幻のクリソベリル」とも呼ばれています。
パロットクリソベリル
インド産 0.93ct

梅花が購入した頃は、珍しい色合いで話題になっていたものの、それほど高価ではなく小さいながらも品質も色も良いものが手に入りました。
珍しい色で、もう産出しないとなると一気に稀少性と価値が上がるのは、パライバトルマリンと同じですね。パライバ以外の産地でも同じようなネオンカラーのものを “パライバトルマリン” と呼んでいますし、パロットクリソベリルもそうなるのでしょうね。

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クリソベリルキャッツアイ Chrysoberyl cats eye

クリソベリルキャッツアイ

キャッツアイという宝石は一つだけ

原石を丸くカットして磨くと、一本の光の筋があらわれます。まるで昼間の猫の目のように見えることから「キャッツアイ」と呼ばれます。和名もそのまま「猫目石」です。
このキャッツアイ効果は他の鉱物にもあらわれることがあり、人工的に作ることも可能ですが、キャッツアイと言えば「クリソベリル・キャッツアイ」を指します。クリソベリル以外のキャッツアイは「キャッツアイ」という宝石ではなく、キャッツアイ効果があらわれる鉱物です。キャッツアイ・クォーツや、アレキサンドライト・キャッツアイというように呼びます。

キャッツアイとシャトヤンシー

キャッツアイ効果は、鉱物の専門用語でシャトヤンシー(chatoyancy)とも言います。フランス語の chatoyant は「色(光沢)の変化する、(宝石などが)変彩する」という意味だそうです。同じくフランス語で Chat が「猫」という意味なのは関係あるのかどうか…ちなみに、仏語で「猫の目」を翻訳にかけると「yeux de chat」となりました。
ガラスビーズのキャッツアイ

なぜ、猫の目のような光がでるのかというと、鉱物内のインクルージョン=針状結晶(多くはルチル)が同じ向きに揃っていて、宝石のカットの方向も揃えることで反射光が線状に集まって見えるのだそうです。
上の写真は、キャッツアイ効果のあるガラスビーズを拡大したものです。うっすらと横縞が見えるのがわかるでしょうか?
光源を動かすと、反射した光も動きます。それがよけい猫の目のように見えるのかもしれませんね!

ミルクと蜂蜜、ミルクアンドハニー

クリソベリルのキャッツアイは黄色〜褐色の色味で、本当に猫の目のような色です。中でも「ミルク アンド ハニー」と呼ばれるものがあり、光源に近い半分が蜂蜜色=ハニーカラー、反対側半分が乳白の淡い黄色=ミルキーカラーのものが最高品質とされています。
クリソベリルキャッツアイ

なんとかそれっぽく写せないかと光の向きをいろいろ変えて撮影してみましたがどうでしょう? インド産のクリソベリルキャッツアイです。サイズが2mm(約0.3ct)くらいなので撮影にはちょっと苦戦しました…
産出国でもあるスリランカでは悪霊から守る石として大事にされてきたそうですし、日本では2021年に2月の誕生石として追加されましたね!

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*1:岩石と宝石の大図鑑 ロナルド・ルイス・ボネウィッツ著 青木正博訳 誠文堂新光社