スワロフスキークリスタルアイテムの中でも、ちょっと違う位置にいるのが8000番台のシャンデリアパーツです。
きらびやかなシャンデリアを構成するクリスタルパーツ。なので、基本は無色透明で輝きが強くサイズも大きいのです。アクセサリーにも使えないこともないですが、手作り界隈ではサンキャッチャーなどに用いられることが多いです。
スワロフスキー ストラス STRASS SWAROVSKI
ストラスはスワロフスキーブランド内の別ラインと理解していいのでしょうか。主に照明(シャンデリア)を取り扱っているようです。私はあまりそっち方向での興味がなかったので詳しくはないのですが、DIY用のクリスタルとは製造方法も異なり品質も高いようです。確かに服飾に使うものとは目的が違うので当たり前といえば当たり前かもですね。空気中の塵が付着しにくいのだとか。
でも、これで8000番台がなぜ ”ストラス” と呼ばれていたのかがわかりました! 別物だったからなんですね。”strass” とは「鉛ガラス(発明者の名前が語源)」という意味ですが、今現在のクリスタルは Pb(鉛)フリーなので安全です。
ちなみに、価格を抑えたリーズナブルなクリスタル照明の方は “スペクトラ” (SPECTRA CRYSTAL)とされています。
#8558
球形(ボール)のクリスタル。左側はブルーシェード加工されていて30mm、右側は普通のクリスタルで20mmです。
一粒でかなりの重さがあります。シャンデリア全体では一体どれくらいの重量になるんでしょうね…
AB(オーロラ)加工されたもの。左がスワロフスキークリスタルで、右側がアスフォークリスタル*1のもの。同じ球形タイプでもメーカーによって違うのがわかります。アスフォークリスタルの方がホール部分が尖っていてドロップ型に近く、AB効果も強く出ています。
#8721
28mmの大きさがあるしずく型(ペアシェイプ)のクリスタル。右側は似ていますが型番は6100で、シャンデリアパーツではなく ”ストラス” でもないということなんですね。
8721はミディアムサファイア・ゴールデンチーク、6100はオーシャンブルーというカラーです。
#8135、8115
左側が8135で、右側が8115です。この形(オクタゴン)のタイプはシャンデリアではつなぎにすることが多いと思います。写真のものは1穴のエンドパーツですが、連結用の2穴タイプがあります。
大きさも14mmと大きくなく、色もついているのでシャンデリア用というよりシャンデリアパーツ型のクリスタルアイテムですね。
こちらはボヘミアガラスのシャンデリアパーツ。チェコ(ボヘミア)はクリスタル製造では最も古い歴史を持ちます。
写真のクリスタルはマシンカット製です。鋳型での大量生産品ではなく専用の機械で一つずつカッティングして作られたものだそうで、ため息が出るほど綺麗。
シャンデリアの目的
ホテルの会場などで見たとこあるかと思いますが、シャンデリアは大型の照明器具で華麗のひとこと。ヨーロッパの宮殿や貴族の邸宅あたりがシャンデリアの最盛期と呼べるのではないでしょうか。
城や宮殿が建築された当時は、電気もガスもない時代。広く高さもある大広間を夜明るく照らすには、ロウソクをいくらたてても難しかったと思います。
シャンデリアは美しい外観が室内の装飾としての要素であることはもちろんのこと、ロウソクの光を増幅する装置でもあったのではないでしょうか。無数のクリスタルに光が乱反射して、眩い煌めきが天井から降り注ぐ。考えた人天才。
また、美しい見た目と、光の反射を使って明るく見せるという実用的な用途のほか、技術とお金をふんだんにつぎ込んだ、富と権力の象徴でもあったのだと思います。
文化の違いって面白い
ガラスは古代からある素材ですが、ヨーロッパではベネチアの鏡やチェコのクリスタルなど、ガラスや宝石のカット技術が発展していったのに対し、東洋では発達しませんでした。
石とガラスと羊毛と麻が主流の西洋と、木と紙とシルクと綿が主流の東洋の違いがあるかもしれません。服飾ではレースや宝石などを飾り付ける西洋に対し、生地そのものに色と模様を織り込み華やかさをだす東洋。玉やかんざしくらいの装飾で十分だったのでしょう。
照明にしても前述の西洋の建築物と比べると、中国では透かし模様が彫り込まれた建具や灯籠、日本でもすいた紙を建具(障子など)や照明器具に多く使用しています。光を透す白い紙は、光を柔らかく反射し対象を明るくます。撮影のレフ板みたいな効果かもですね。
西洋と東洋では光の扱い方が違っていて面白いですよね! その土地で取れる素材の違いによって異なる技術が発展していって、作られるものが特徴づけられていって文化が出来上がる。ほんと、面白い。
超巨大な#1088
最後におまけとして、特大の1088スワロフスキーを紹介。50mmサイズで、もうインテリアオブジェかペーパーウェイトとしてか用途はありません。完全に観賞用です笑。
右側の一回り小さなサイズのものはかなり昔のもので、ガラス製だったか水晶だったかわからなくなってしまいました…
*1:アスフォークリスタル Asfour Crystal:1961年創業のエジプトに本社があるクリスタル製造会社