梅花のいろとかたち

Umehaha の手仕事と好きなものブログ

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スワロフスキー エフェクトの種類と違い [SWAROVSKI]

スワロフスキー ジェム

スワロフスキーのジェムタイプには特殊色などはありましたが、あまり加工されたものがありませんでした。けれど、ここ数年で色々なエフェクト(効果)がついたジェムタイプが発売されバリーエションが増えたように思います。
どういう加工でどう効果が違うのか、手持ちのもので調べてみました。違いがわかりやすくなるように、形とサイズを#4470の10mmで揃えています。

2024.1  ラッカーイグナイトを追記するとともに、既存画像の差し替えと新規画像を追加しました。

基本はフォイル Foil

フォイル(Foil)とは「箔」のことです。ガラスをカットしただけでは輝きが生まれません。ダイヤモンドとは屈折率が異なるからです。ジェム内部での光の乱反射があの輝きを生みます。そこで、ガラスジェムの裏側に金属の箔をコーティングすることで、光を反射させて輝きを加えています。鏡面になっていて全反射するため光はジェムストーンを透過しません。
スワロフキーのジェムタイプは、色ガラス+フォイル(箔)が基本です。

左から、Lt.ローズイグナイト、Lt.ローズ、Lt.ローズシマー。同じライトローズでも三者三様の輝きです。真ん中のタイプが基本です。
Lt.ローズイグナイト、Lt.ローズ、Lt.ローズシマー

裏面。イグナイトのみアンフォイル(箔なし)
裏面 Lt.ローズイグナイト、Lt.ローズ、Lt.ローズシマー

エフェクト Effect

クリスタル シャイニー ラッカー エフェクト Crystal shiny lacquer effect

2017秋冬シーズンで初めて登場したのが、シャイニー ラッカーです。直訳すると「光沢のあるラッカー」Shiny=輝く、lacquer=漆器という意味です。

ツヤありラッカーでガラスストーンの裏側をペイント塗装したような感じで、通常のフォイルのような輝きはありません。鏡面反射しないためソフトフォーカスしたような柔らかさがあります。
カラークリスタル(色ガラス)を使うのではなく、ラッカーの色を映しているのが特徴です。

左はクリスタルアイボリークリーム、右はクリスタルリネンイグナイト
クリスタルアイボリークリーム、クリスタルリネンイグナイト

裏面。ラッカーの色が違います。
裏面 クリスタルアイボリークリーム、クリスタルリネンイグナイト

ガラスそのものが乳白になっているオパール系のストーンはありましたが、ガラスは透明、箔の変更は初めてだったんじゃないでしょうか。(バミューダブルーなど箔内側に色が着いた特殊加工のものはありました。)
2018春夏・2019春夏シーズンに新色が発売されました。

シマー エフェクト Shimmer effect

2018秋冬シーズンに登場したのが、シマーです。シマーとは煌めきという意味で、効果としては "ベースの色が透ける薄さの偏光エフェクト" だそうです。

ドロップ型のスワロフスキーに昔からあったオーロラ(AB)加工に近いのですが、AB加工よりも透明感がありベースのカラーガラスの色がより反映されます。
ガラスの表面に偏光コーティングされていて華やかな印象です。ただ、このシマーエフェクトがジェムタイプに施されてシーズンの主役として登場したのはこのときのみで、この後登場するディライトエフェクトに置き換わってしまいます。

左がLt.ローズシマー、右がクリスタルダスティピンクディライト。
Lt.ローズシマー、クリスタルダスティピンクディライト

裏面。シマーはフォイルで、ディライトはラッカー塗装。
裏面 Lt.ローズシマー、クリスタルダスティピンクディライト

クリスタル ラッカープロ ディライト エフェクト Crystal lacquer pro delight effect

2019秋冬シーズンで登場。ディライトとは「喜び」「楽しませる」という意味を持っています。効果は「ラッカーの内側にシマーエフェクトが施されたもの」とあります。

シマーがクリスタル表面に偏光加工されていたのに対し、ディライトはクリスタルの裏面に偏光加工が施されています。内側から虹色がチラチラと輝いていてとても綺麗です。

左はシャイニーラッカー、右がディライト。どちらも色はアイボリークリーム。
アイボリークリーム シャイニーラッカー、ディライト

裏側。ラッカーの色が同じであることがわかります。
アイボリークリーム裏面 シャイニーラッカー、ディライト

この加工が登場したことによって、輝きの少ない通常のシャイニーラッカーは新作が出ず、ガラス表面に虹色の膜が張ったように見えるシマーはシーズンのメインとして新作が出ることがなくなってしまいました。
ディライトはこの後、2020春夏、2020秋冬、2022春夏とシーズンの主役を担います。

イグナイト エフェクト Ignite effect

2021春夏シーズンにお目見えしたのが、イグナイトです。意味は、発火、点火、火を付ける…パッとした輝きってこと??
梅花はこのエフェクトが一番好きです。なぜならアンフォイル(un foil)「箔なし」だから。光が透過するので透明感が段違いです。しかし、単にフォイルを外しただけだと普通のクリスタル(カットガラス)なのでガラスの輝きでしかありません。そこでスワロフスキーさんはどうしたかというと。

アンフォイル、裏(Vカット部分)にエフェクト。
無色のAB。色を変えるエフェクトではなく“輝かせるため”のエフェクトです。エフェクトはおもて面ではなく裏面(Vカット面)に施されています。

という加工をしているんですね。鏡のように映り込み反射する光沢ガラス。フォイルの鏡面反射光ではなく、内側からキラキラとした繊細な輝きが生まれています。

左がライトローズイグナイト、右は通常のライトローズ。フォイルは鏡面加工なので強い反射。
ライトローズイグナイト、ライトローズ

左がイグナイトエフェクト、右が通常のアンフォイル。カットのテーブル面を見ると、イグナイトの方が反射光が多いのがわかります。
イグナイトエフェクトと通常のアンフォイル

2021秋冬シーズンにも深みのある色(ルビー、エメラルド、トパーズ、アメジスト)で展開しましたが、この透明感と輝きを活かすため、カットが刷新されて新しい形状のストーンが発売されました。より本物のジェム、宝石に寄せたスワロフスキーだと思います。

クリスタルラッカープロ イグナイトエフェクト  Crystal lacquer pro ignite effect

2024.1 追記

2022年の秋に最初のカラーを発売しています。ラッカーカラー+イグナイトエフェクト。
シャイニーラッカーのみではイマイチ輝きが足りなくて、ディライトだと虹色が加わる。色ガラスでは難しい色もラッカーなら作ることができ、イグナイトエフェクトで輝きを足すことができる。
ここまでのジェムストーンの変遷をみてくると、このエフェクトが出てくるのは必然だったと思えます。2023年に登場したネオンカラーは、このエフェクトの進化があってこそですね!
ネオンカラー

加工の種類と場所をまとめると…

クリスタル本体
 ・無色透明
 ・カラークリスタル

裏面加工
 ・アンフォイル(無し)
 ・フォイル(鏡面)
 ・ラッカー(カラー塗装)

裏面エフェクト
 ・ディライト(偏光)
 ・イグナイト(光沢)

表面エフェクト
 ・無し
 ・シマー(偏光)

それぞれの組み合わせでバリエーションが生まれています。
ノーマル、オパール、特殊加工、この3つのみだった時に比べるとバリエーションが本当に豊かになりました。どれをチョイスするか悩みますが、悩んでる時間もまた楽しいんです!

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